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山口 淑子

「李香蘭」を生きて

「李香蘭」を生きて 人気ランキング : 98051位
定価 : ¥ 1,680
販売元 : 日本経済新聞社
発売日 : 2004-12
発送可能時期 : 通常24時間以内に発送
価格 : ¥ 1,680
李香蘭の肉声


日本経済新聞朝刊「私の履歴書」に30回にわたり連載された
李香蘭こと山口淑子女史の半生記である。
名著『李香蘭 私の半生』と重なる部分も多いが
『李香蘭 私の半生』が藤原作弥氏との共著であったのに対し
本書は山口女史単独の執筆であることから
読み比べると細部のニュアンスが相違している。

例えば敗戦後の上海の収容所で、
酔った川喜多長政氏が山口女史に
「一緒に延安か重慶に逃げよう」と
言ったというエピソードは確か『李香蘭 私の半生』には
書かれていなかった気がする。

本文は字が大きく、行間も離れており
すぐに読めてしまうため損した気分になるが
山口女史のフィルモグラフィーとディスコグラフィーは
完全版といえるほど資料的価値は高い。

まだまだたくさん語ってほしい

戦前、李香蘭として一世を風靡した著者の半生を綴った一冊。藤原作弥氏との共著の自伝『李香蘭 私の半生』と比べて、本人の肉声がよりはっきりと伝わってくる。川島芳子、甘粕正彦…交友のあった人物名を記すだけで、歴史の一断面に立ちあった体験が偲ばれるが、本書のハイライトは、敗戦間近の1945年6月に上海で開かれた李香蘭リサイタルの場面。終演後、幼なじみのロシア人に再会し、ミステリアスな失踪の謎が明かされる。その後、苦難の末に帰国した著者の戦後は…。最後は幼なじみのロシア人と上海以来53年ぶりに再会を果たし、彼女の過酷な運命を知る場面で終わる。戦争と政治に翻弄された20世紀を象徴しているかのような事実に、言葉を失う。

現時点で最高の“李香蘭”史料

山口淑子さん幼少の記憶から、李香蘭誕生、中国と日本との狭間で揺れた満映時代を経て、戦後アメリカでの活動、初婚、再婚、そして運命の友人リュバとの再会と別れまで、息つく間もなく一気に読ませてくれる。
大枠は新潮社『李香蘭 私の半生』と同じだが、共著だった同書とは違い、彼女自身の言葉で綴られているために、ニュアンスの相違が興味深い。
NHKで放映されたリュバとの再会の際、電波に乗らなかったリュバの言葉にも触れられている。その内容は謎を残したままであるが、衝撃的だ。ぜひ実際に手に取って自分で読んでいただきたい。
李香蘭に興味がある方はもちろん、いくつもの顔を持って生きてこられた山口淑子さんの歴史に触れるには、格好の史料だ。ボリュームは少ないが、現時点ではこれを置いてほかに望めないほど内容は濃い。
巻末に添えられた資料類(川島芳子の裁判記録、李香蘭ディスコグラフィ、出演映画一覧、簡易年表)も、おまけ以上の価値がある労作。
特に川島芳子の裁判記録に書かれた“中国国籍法の血統主義”は、同じく漢奸裁判にかけられた李香蘭が、なぜ山口淑子として認められ、放免されたのかを理解するためには必読だ。

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